父と娘の日記

或る70歳台父と40歳台娘の日々ー共通の趣味は、読書、音楽鑑賞(主にクラッシック)、登山、旅行等。

「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス

お題「我が家の本棚」

 

 

アルジャーノンに花束をダニエル・キイス

 

 

 

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内容説明
32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これにとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。やがて手術によりチャーリイの知能は向上していく…天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは?全世界が涙した不朽の名作。著者追悼の訳者あとがきを付した新版。

  

著者等紹介
キイス,ダニエル[キイス,ダニエル] [Keyes,Daniel]
1927年ニューヨーク生まれ。ブルックリン・カレッジで心理学を学んだ後、雑誌編集などの仕事を経てハイスクールの英語教師となる。このころから小説を書きはじめ、1959年に発表した中篇「アルジャーノンに花束を」でヒューゴー賞を受賞。これを長篇化した本書がネビュラ賞を受賞し、世界的ベストセラーとなった。その後、オハイオ大学で英語学と創作を教えるかたわら執筆活動を続け、話題作を次々と発表した。2014年6月没。享年86

 

 

小尾芙佐[オビフサ]
1955年津田塾大学英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

 

出版社内容情報
32歳で幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイは、ある日、ネズミのアルジャーノンと同じ画期的な脳外科手術を受ければ頭がよくなると告げられる。手術を受けたチャーリイは、超天才に変貌していくが……人生のさまざまな問題と喜怒哀楽を繊細に描き、全世界が涙した現代の聖書。

 

  

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』より

アルジャーノンに花束を Flowers for Algernon
著者 ダニエル・キイス 訳者 稲葉由紀(中編版) 小尾芙佐(長編版)
発行日 中編版1959年4月、1961年2月(日本語訳)
長編版1966年3月、1978年(日本語訳)
発行元 Harcourt, Brace & World 早川書房(日本語訳)
ジャンル SF小説
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 言語 英語

アルジャーノンに花束を』(アルジャーノンにはなたばを、Flowers for Algernon)は、アメリカ合衆国の作家ダニエル・キイスによるSF小説。1959年に中編小説として発表され、翌年ヒューゴー賞短編小説部門を受賞。1966年に長編小説として改作され、ネビュラ賞を受賞した。
それまでのSF小説が宇宙や未来などを舞台とした作品であったことに比べ、本作は知能指数を高める手術とそれに付随する事柄という限定した範囲での前提でSFとして成立させている。ジュディス・メリルは、本作をSFの多様性をあらわす作品のひとつとして位置づけている。また、最後の一文が主眼であり、ここに収束される感動に泣かされる作品でもある。

 

あらすじ
アルジャーノンに花束を』の主人公、チャーリー・ゴードンは30才にして知能は6才程度。知的障害を持つ青年チャーリイは、かしこくなって、周りの友達と同じになりたいと願っていた。他人を疑うことを知らず、周囲に笑顔をふりまき、誰にでも親切であろうとする、大きな体に小さな子供の心を持った優しい性格の青年だった。
彼は叔父の知り合いが営むパン屋で働くかたわら、知的障害者専門の学習クラスに通っていた。ある日、クラスの担任である大学教授・アリスから、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められる。先に動物実験で対象となったハツカネズミの「アルジャーノン」は、驚くべき記憶・思考力を発揮し、チャーリイと難関の迷路実験で対決し、彼に勝ってしまう。彼は手術を受けることを快諾し、この手術の人間に対する臨床試験の被験者第1号に選ばれたのだった。
手術は成功し、チャーリイのIQは68から徐々に上昇し、数ヶ月でIQ185の知能を持つ天才となった。チャーリイは大学で学生に混じって勉強することを許され、知識を得る喜び・難しい問題を考える楽しみを満たしていく。だが、頭が良くなるにつれ、これまで友達だと信じていた仕事仲間にだまされいじめられていたこと、自分の知能の低さが理由で母親に捨てられたことなど、知りたくもない事実を理解するようになる。
また、高い知能に反してチャーリイの感情は幼いままだった。突然に急成長を果たした天才的な知能とのバランスが取れず、妥協を知らないまま正義感を振り回し、自尊心が高まり、知らず知らず他人を見下すようになっていく。周囲の人間が離れていく中で、チャーリイは手術前には抱いたことも無い孤独感を抱くのだった。さらに、忘れていた記憶の未整理な奔流もチャーリイを苦悩の日々へと追い込んでいく。
そんなある日、自分より先に脳手術を受け、彼が世話をしていたアルジャーノンに異変が起こる。チャーリイは自分でアルジャーノンの異変について調査を始め、手術は一時的に知能を発達させるものの、性格の発達がそれに追いつかず社会性が損なわれること、そしてピークに達した知能は、やがて失われ元よりも下降してしまうという欠陥を突き止める。彼は失われ行く知能の中で、退行を引き止める手段を模索するが、知能の退行を止めることはできず、チャーリイは元の知能の知的障害者に戻ってしまう。自身のゆく末と、知的障害者の立場を知ってしまったチャーリイは、自らの意思で障害者収容施設へと向かう。
彼は経過報告日誌の最後に、正気を失ったまま寿命が尽きてしまったアルジャーノンの死を悼み、これを読むであろう大学教授に向けたメッセージ(「ついしん」)として、「どうかついでがあったら、うらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやってください」と締め括る。

 

 

 

 

 

アルジャーノンとは、この本に登場する白ネズミのこと。主人公チャーリー・ゴードンの良きライバルとして登場する。そして主人公チャーリーは、白痴であり物事を何回やっても憶えられなかったり文字を読むこともろくに出来なかったりする32歳の男。
チャーリーと白ネズミのアルジャーノンにはある共通点がある。二人とも、脳の手術をして頭をよくしてもらったこと。知恵遅れのチャーリーが、手術により高い知能を獲得し、再び失う。

ひらがなと誤字脱字とで無邪気に書かれたIQ68の「けえかほおこく」が徐々に「経過報告」に整っていく見事さ。そしてついにIQ185に達した知性が、徐々にけえかほおこくへと退行してゆく残酷さ。一緒にダンスを踊ったフェイには部屋に鍵をかけられ、かつてアリスと呼んだ女性を再びキニアン先生と呼ぶようになる哀切さ。
わかることが素晴らしいことであると同時に、とても重みのあることだというのに気付かされる。天才となる前のチャーリイは、悪意を持って嘲笑してくる人のことを友人と思っていたし、彼らは自分を好いていると思っていた。
しかし、チャーリイはその全てを理解し、絶望と孤独に打ちひしがれる。しかし、天才であったほんの数ヶ月を後悔していなかった。世界中の知らなかったことを知ることができた。

知能指数が人工的に高められた結果、友達は離れ、人格も変わり、彼は別人のようになる。知的障がい者であった過去の自分と非凡な現在の自分、どちらも自分であるゆえに、自分とは何なのかと悩む。時折、昔のチャーリイが顔を覗かせる。ところが急に上がった知能は、低下するのも急で、同じく知能を高められたアルジャーノンというネズミと同じ運命を辿ることが分かった。チャーリイの最後の願いがこの本のタイトルなのだと気付いて胸がいっぱいになった。
「知能だけではなんの意味もないことをぼくは学んだ。あんたがたの大学では、知能や教育や知識が、偉大な偶像になっている。でもぼくは知ったんです、あんたがたが見逃しているものを。人間的な愛情の裏打ちのない知能や教育なんてなんの値打ちもないってことをです」

人間とは、人生とは、幸せとは・・・なんでしょう。

高校生の時、初めて読みました。

 何度読んでも感動します。

 

アルジャーノンに花束を〔新版〕

アルジャーノンに花束を〔新版〕