父と娘の日記

或る70歳台父と40歳台娘の日々ー共通の趣味は、読書、音楽鑑賞(主にクラッシック)、登山、旅行等。

認知症予防にはガムを噛むことが良いらしい

「35歳からガムを噛め」と医師が勧める理由


認知症予防と歯周病の意外に深い関係

歯周病で「脳のゴミ」が増える

歯周病アルツハイマー認知症を引き起こすという事実は、さまざまな研究により判明し、近年では広く知られるようになってきました。

歯周病菌が出す毒素によって歯肉に炎症が起き、炎症物質「サイトカイン」が血液に運ばれて脳に流れ込むと、脳の中で「アミロイドβ」という"脳のゴミ"が増える。それがアルツハイマー認知症の大きな原因だと言われています。

さらに、「脳のゴミ」がたまること以外にも、歯周病が脳に悪影響をもたらす理由がもう1つあります。それは、歯を失ってしまうということ。大人が歯を失う原因の第1位は、むし歯ではなく歯周病なのです。

認知症を予防するための、35歳からの歯のケア・ポイントを3つ説明すると

① 1日1回は、歯をみがく時間を15分にする
② 歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に対して、斜め45度の角度で当てる
③ みがき残しを減らすため、途中で歯ブラシの持ち手を変えて両手でみがく
となります。毎日の歯みがきでできることなので、ぜひ意識してみてください。

「歯がない人はボケやすい」とは昔から言われていることですが、これは事実で、"口の中に残っている歯の数"と"認知症発症率"には関連があることがわかっています。

 

東北大大学院の研究グループが、70歳以上の高齢者を対象に行った調査によると、「脳が健康な人」の歯は平均14.9本でしたが、「認知症疑いあり」と診断された人はたったの9.4本でした。つまり、残っている歯が少ない人ほど、認知症になりやすいことが明らかになったのです。

また、名古屋大学大学院医学系研究科の上田実教授が行った調査によると、アルツハイマー認知症の高齢者は、健康な高齢者に比べて、残っている歯の本数が平均して3分の1しかなかったと言います。また、歯がないにもかかわらず入れ歯などの補助的な歯を使用していない率が高く、健康な高齢者の半分ほどしかいなかったのです。

さらに、アルツハイマー認知症の高齢者は、健康な高齢者より、20年も早く歯を失っていたことも明らかになりました。上田教授は、歯が早く失われ、しかも治療もせずに放置しておくと、アルツハイマー認知症の発症リスクが健康な人の3倍になると結論づけています。

加えて、この研究では、すでにアルツハイマー認知症を発症している高齢者に関して、失った歯の本数が多い人ほど脳の萎縮度が高いという画像診断結果が出ました。つまり、歯がないとアルツハイマー認知症を発症しやすいだけでなく、進行しやすいことも明らかになったのです。

事実、私が運営する認知症クリニックの患者さんを見ても、25%は歯が1本もない総入れ歯です。そして、そうした方の多くが、50~60代という早い時期にすべての歯を失っていました。

ひとかみで3.5㎖の血流が脳に送り込まれる

ではなぜ、歯がないことが認知症につながるのでしょうか。

実は、歯でものをかむと、ひとかみごとに脳に大量の血液が送り込まれます。歯の下には「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような器官があって、歯はそこにめり込むようにして立っています。かむときは、歯がこのクッションに約30ミクロン沈み込みます。そのほんのわずかな圧力で、歯根膜にある血管が圧縮されて、ポンプのように血液を脳に送り込むのです。その量は、ひとかみで3.5㎖。

市販のお弁当についている、魚の形のしょうゆ入れ、あの小さい容器がだいたい3~3.5㎖サイズなので、かむということは、そのたびに、あの容器一杯の血液をピュッと脳に送り込んでいることになります。ひとかみでこの量ですから、よくかむ人の脳にはひっきりなしに血液が送り込まれて、その間、脳に刺激を受け続けていることになります。つまり、かめばかむほど脳が活性化されて元気になり、どんどん若返るのです。

ところが、歯の本数が少なくなればなるほど、歯根膜のクッションにかかる圧力が減って、脳に送り込まれる血液の量が少なくなります。脳への刺激が減って、脳機能の低下につながるわけです。脳機能の低下は、ヤル気の喪失や、もの忘れを引き起こし、やがては認知症へとつながっていきます。

多くの方は「8020運動」という言葉をご存じでしょう。これは、「80歳になっても、自分の歯を20本残そう」と、厚生労働省日本歯科医師会が、1989年から始めた運動です。

歯周病の発症率が増えていくのは"35歳前後"

そうなると、歯を失わせる原因1位である歯周病の予防が必須となります。歯周病は、日本人の大人のほとんどがかかっている、いわば国民病です。その発症率は35歳前後から上がっていき、40代になる頃には、なんと8割もの人が進行に差はありますが歯周病を発症します。

実は、若い人の口の中にも歯周病菌はたくさんいるのです。それなのに、35歳前後から発症率が増えていくのは、この頃から加齢により免疫力が低下するせいだとする説があります。若い頃は歯周病菌で歯茎に軽い炎症が起こってもたちまち治っていたのに、免疫力が落ちたせいで修復のスピードが追いつかず、歯周病が進行するというわけです。

歯周病は、風邪などと違って自然治癒しませんから、脳の老化を防ぎ、イキイキとした脳の状態を保ちたいなら、35歳からは、それ以前とは意識を変えて、歯のケアをさらに入念にしなければいけません。

今回はいつでもどこでもかむことができる「ガム」をお勧めしたいと思います。

ガムをかむことで、血液を脳に送り込むことができます。これにより、脳を刺激するとともに、冒頭でお話しした‟脳のゴミ“と呼ばれアルツハイマー認知症の原因となる「アミロイドβ」を押し流すこともできるのです。

よく、スポーツ選手が試合中にガムをかんでいる姿を目にするように、かむことが脳を活性化し集中力を高めることはよく知られています。

また、かむことは、安定した姿勢を保つことにも一役買います。私たちの体は、姿勢のバランスが崩れたときに、無意識に「抗重力筋」と呼ばれる筋肉を働かせてバランスを保ちますが、この「抗重力筋」の1つが、「かむ」ときに使う「咀嚼筋」です。つまり、ふらつかずにいつまでもしっかりと立っているためには、咀嚼筋を鍛えることが欠かせないのです。
ほかにも、「かむ」ことによる効果は、がんや生活習慣病の予防や免疫力アップ、口臭予防、幸せホルモン「セロトニン」の分泌などさまざまなものがあると言われています。

現代社会では、食事の際に行う咀嚼だけではかむ回数が不十分なので、食事と食事の間にこまめにガムをかむことで、足りない分の咀嚼回数を補っていきましょう。

ガムのかみ方の目安としては、1日3回。1回につき5分以上はかんでください。唾液による歯の再石灰化効果を高めるために、1粒ずつ、毎食後にかむとよいでしょう。あるいは、就寝前にかむのも効果的です。就寝中は唾液の分泌が減ります。唾液パワーで口腔内細菌が減らせるので、このタイミングでかんでおくと、朝の起床時の口臭を減らすことができます。ただし、ガムをかむことでプラーク歯垢)を落とすことはできないので、ガムだけに頼らず、歯みがきをしっかりすることが重要です。

ガムをかむときは、口の中でかむ位置を変えて、左右交互にかむようにしましょう。

選ぶべきガムと選んではいけないガム

ガムを選ぶ際は、次の成分が含まれているものがお勧めです。これらのガムにはむし歯予防を助ける働きがあります。

キシリトール
白樺や樫の木などを原料としてつくられる天然素材の甘味料。むし歯予防にはキシリトール含有率が90%以上の歯科医専用のキシリトールガムが効果的です。
② リカルデント(CPP-ACP)
牛乳の蛋白質からつくられています。歯のエナメル質の再石灰化を助けます。
ポスカム(POs-Ca/リン酸化オリゴ糖カルシウム)
ジャガイモを原料とするオリゴ糖でつくられています。
④ L.ロイテリ菌
人由来の乳酸菌。むし歯や歯周病の原因菌を減らす効果があるとされています。
一方で、お勧めしないのは、次のようなガムです。

× 糖類を含むもの
糖類ゼロgのものを選びましょう。甘味料としては、キシリトールソルビトールマルチトールなどがお勧めです。
× 酸性物を含むもの
クエン酸や果汁入りなどの、それ自体が酸性のものは避けましょう。酸性度にもよりますが、歯のエナメル質が溶け出す可能性があります。
認知症が進行している方や、ものを飲み込む嚥下機能が低下している方の場合は、ガムをのどに詰まらせてしまう危険性があるのでお勧めができませんが、若いうちからガムをかむことで、将来の認知症の予防が期待できます。

前述したように歯周病の発症率が増えていくのは35歳前後。「まだまだ先の話だから」と油断せず、こまめにガムをかんで認知症リスクから脳をしっかりと守りましょう。

東洋経済オンライン   長谷川 嘉哉 : 脳神経内科認知症の専門医より

 

 

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認知症は国家レベルの問題に
まるでゴミ屋敷のような、認知症患者さんの口の中
歯のケアで認知症状が劇的に改善!
これからの時代は、医者と歯医者が連携して病気を予防する時代に!

第1章 「ボケない脳」をつくるのは、「歯」だった!
第2章 これだけある! 歯と病気や症状の関係
第3章 認知症専門医が教える、脳の老化を防ぐ歯のケア方法
第4章 歯医者さんを味方につける
第5章 心地よい歯みがきで、脳をみがき続けよう!
内容(「BOOK」データベースより)
認知症専門医が「歯」と思われましたか?実は、「歯」と認知症、さらに糖尿病、肺炎、心筋梗塞などの病気は、とても深く結びついているのです!
著者について
長谷川 嘉哉(はせがわ・よしや)
1966年、名古屋市生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。
医学博士、日本神経学会専門医、日本内科学会専門医、日本老年医学会専門医。毎月1000人の認知症患者を診察する、日本有数の脳神経内科認知症の専門医。
祖父が認知症であった経験から2000年に、認知症専門外来および在宅医療のためのクリニックを岐阜県土岐市に開業。
これまでに、20万人以上の認知症患者を診てきて、いち早く認知症と歯と口腔環境の関連性に気づく。
現在、訪問診療の際には、積極的に歯科医・歯科衛生士による口腔ケアを導入している。
さらに自らのクリニックにも歯科衛生士を常勤させるなどし、認知症の改善、予防を行い、成果を挙げている。
「医科歯科連携」の第一人者として、各界から注目を集めている医師である。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
長谷川/嘉哉
1966年、名古屋市生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。医学博士、日本神経学会専門医、日本内科学会専門医、日本老年医学会専門医。毎月1000人の認知症患者を診察する、日本有数の脳神経内科認知症の専門医。祖父が認知症であった経験から2000年に、認知症専門外来および在宅医療のためのクリニックを岐阜県土岐市に開業。これまでに、20万人以上の認知症患者を診てきて、いち早く認知症と歯と口腔環境の関連性に気づく。現在、訪問診療の際には、積極的に歯科医・歯科衛生士による口腔ケアを導入している。さらに自らのクリニックにも歯科衛生士を常勤させるなどし、認知症の改善、予防を行い、成果を挙げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

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認知症クリニックに通う患者の25%は総入れ歯!

口の中に残っている歯の数と認知症発症率には、相関関係があります。

東北大大学院の研究グループが、70歳以上の高齢者を対象に行った調査によると、「脳が健康な人」の歯は平均14・9本でしたが、「認知症疑いあり」と診断された人はたったの9・4 本でした。つまり、残っている歯が少ない人ほど、認知症になりやすいことが明らかになったのです。

昔から言われている「歯がない人はボケやすい」は、科学的に見ても正しかったのです。歯が残っているメリットは、歯で噛むことで脳に血液を送り込むことが出来、脳を活性化できることです。またアルツハイマー病の原因とされる、脳のゴミ「アミロイドβ蛋白」を血流で押し流すことが出来るのです。

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歯周病は脳を老化させる大きな要因。ターニングポイントは35歳!
歳をとると、口の中の環境が変わって、歯周病菌が増えやすくなります。この歯周病は日本人の大人のほとんどが患っている、いわば国民病。その発症率は35歳前後からぐんぐん上がっていき、40代になるころには、なんと8割もの人が歯周病を発症します。実は、若い人の口の中にも歯周病菌はたくさんいるのです。

35歳前後から発症率が増えていくのは、このころから加齢により免疫力が低下するせいだとする説があります。若いころは歯茎に軽い炎症が起こっても治っていたのに、免疫力が落ちたせいで修復のスピードが追いつかず、歯周病が進行するというわけです。歯周病は風邪などと違って自然治癒しません。放っておくと「もう歯を抜くしかありませんね」と宣告されます。つまり、大切な歯を失うことになります。

さらに、歯周病菌が出す毒素により、血液中に炎症物質「サイトカイン」が流れ込みます。「サイトカイン」が脳に流れ込むと、認知症を発症するリスクが高まります。35歳からは、歯のケアをこれまでと変えなければいけません。具体的な手入れ方法を本書でお伝えします。

 

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歯のケアを変えれば、生涯医療費が1千万円以上安くなる!
日本歯科医師協会が、全国の40歳以上、約1万9000人を対象に行った調査では、残っている歯の数が20本以上ある人は、0~4本の人よりも、年間の医療費が平均で17万5900円も低いという結果が出ました。この金額を1日あたりに換算すると、17万5600円÷365日=約482円。つまり、歯を20本以上キープする歯のケアを続けるだけで、毎日約500円もの医療費を得することになるのです。

なぜこうなるのかというと、これは歯を失う最大の原因は歯周病であり、その歯周病認知症だけでなく、糖尿病、脳梗塞、肺炎などの全身疾患を引き起こすからです。

もしあなたが100歳まで生きるとして、そのとき歯が0~4本しか残っていないとしましょう。先ほどのデータをもとに、歯周病患者が増えはじめる40歳以上から100歳までの60年間分の医科医療費の差額を計算すると、年間平均医療費17万5900円×60年=1千55万4000円となります。つまり、残りの歯が20本以上ある人に比べて、1千万円以上も多く生涯医療費を支払わなければいけないことになるのです。もしこの1千万円を支払わずに済めば、老後のお金の不安はずいぶん減るのではないでしょうか。

 


効果はわかりませんが、父と私のお気に入りのガムです。

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イチョウ特有のフラボノイド(ポリフェノール)とギンコライド(テルペンラクトン)によって
集中力と記憶力を高める機能性ガム。

血管拡張と血流改善に効果をあらわすものなので、記憶力の維持・改善・強化のほか、
頭痛、肩こり、冷え症にも効き、動脈硬化脳梗塞の防止にも良いらしいです。

 

認知症専門医が教える!  脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!

認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!

  • 作者:長谷川 嘉哉
  • 発売日: 2018/11/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)