2021年の天文イベント10選
2021年の天文イベント10選
2月11日:金星と木星の接近
天空に明るく輝く2つの惑星、金星と木星の接近を見ることができる。どちらの星も肉眼で明るい点に見え、天体望遠鏡を使えば、両方の星を同時に観測できる。さらに、その右上には土星まで見える。
観測するなら、南東の空の地平線付近がよく見える場所。
最適な観測タイミングは太陽の光で空が明るくなる日の出の直前。
3月9日〜10日:4つの天体の共演
南東の朝の空に4つの天体が集まる。水星、木星、土星はほぼ一直線に並び、その近くには細い月が見える。3つの惑星はいずれも明るい点に見えるが、水星が一番小さく、木星が一番明るい。すべて肉眼で観測可能。
双眼鏡を使えば、木星の4つの衛星を見ることもできる。天体望遠鏡なら、土星の環も見えるはず。地球、水星、太陽の相対的な位置の関係で、水星を天体望遠鏡で見ると、まるで小さな半月のように見えるだろう。
北米西部、南米西部、オーストラリア、アジア南東部では、皆既月食の赤い月(ブラッドムーン)を見ることができる。
皆既月食では、地球の大気を通った太陽光は、赤い光が屈折して月を照らす。そのため、部分月食のときに灰色だった月は、皆既月食が始まると赤っぽい色に変わる。月がどんな色に見えるかは、地球の大気中の塵の量によって変わってくる。
この皆既月食は、楕円軌道を描く月が一番地球に接近する「スーパームーン」のタイミングと一致する。そのため、通常の満月よりも明るく大きく見える。地球の影が月と重なり、部分月食が始まるのは、日本時間の18時44分。月が赤く見える皆既月食は、20時11分に始まり同25分に終わる。
6月10日:金環日食
カナダからロシアにかけての地域で、日の出とともに金環日食を見ることができる。この現象は、太陽と月、地球が一直線に並んだ際に起きる。見かけの月が太陽のそれより少し小さいとき、黒い月のシルエットの周辺に輝く環が現れる。
金環日食の観測場所から遠くても、アジア、ヨーロッパ、北米などでは月が太陽の一部を隠す部分日食を見られるかもしれない。金環日食や部分日食を観測するときは、必ず適切な器具で目を保護するようにしよう。
7月12日:金星と火星の接近
日没後、2つの明るい惑星がとても接近して見える。近くには三日月もあり、天文好きには絶好のシャッターチャンスとなるだろう。
2020年12月の木星と土星の大接近と同じように、火星と金星は天体望遠鏡でも2つ同時に観測できるはず。金星はとても明るく輝くので、簡単に見つけられる。火星は金星よりはずっと暗いので、最初のうちは明るい金星のそばでは見にくいかもしれない。しかし、目が慣れてくれば肉眼でも見えるはず。
8月12日〜13日:ペルセウス座流星群
毎年8月中旬、地球はスイフト・タットル彗星が残した塵の中を通過する。その結果、細かい隕石が大気の上層部で燃え尽き、たくさんの流星が発生する。これはペルセウス座流星群と呼ばれ、例年だと1時間に60個ほどの流星を観測できる。
今年のペルセウス座流星群のピークは、月のない暗い空と重なり、特に観測に適した条件となる。流星群は、その名の由来となったペルセウス座から現れるように見える。観測は北半球のほうが適している。
きれいな流星群を見たいなら、できるだけ光が少ない場所を探そう。晴れた夜空なら、郊外の庭や公園からでも、1時間に10個ほどの流星を見ることができる。
8月18日:火星と水星の接近
太陽系でもっとも内側にある小さな水星と、太陽系4番目の惑星である火星が接近して見える。だが、日没に近い時間帯なので、観測は少々厄介。西の方角に視界を遮るものがあってはならない。水星は火星よりも明るく見える。天体望遠鏡で観測するなら高い倍率でも同時に観測できる。
10月8日:10月りゅう座流星群
ジャコビニ流星群とも呼ばれ、北西の夜空の高い位置で輝くりゅう座から、1時間に10個から15個の流星が観測できる。この流星群は、ジャコビニ・ツィナー彗星(21P/Giacobini-Zinner)の軌道に沿って広がる粒子によるもの。この日は細い月しか出ておらず、空が暗いので、流星の観測に適している。
見ごろは、流星が高い位置に見える日没後から夜中あたり。ピーク時には、北半球全域でりゅう座が真夜中にほぼ真上に見える。この流星群の流星は速度が遅いので、比較的見つけやすい。
11月19日:部分月食
2021年最後の月食は、北米から南米、オーストラリア、そしてヨーロッパとアジアの一部で観測できる。部分月食ではあるものの、最大で満月の95%にあたる部分が地球の影に隠れる。最大時には、短い時間だが皆既月食のように見えるはずだ。そのため、かすかなオレンジ色や赤色に見えるかもしれない。月食は日本時間の16時18分に始まり、18時2分には月のほとんどが地球の影に隠れる。
12月4日:皆既日食
この皆既日食を見ることができるのは、南極。ただし部分日食なら、チリ、アルゼンチン、南アフリカ、ナミビア、オーストラリアの一部で見ることができる。
皆既日食を観測できる場所に向かうクルーズ船や飛行機もある。そういった場所では、太陽が完全に月で覆われる数分間、あたりは一気に暗くなる。世界の南の果てに赴く人は、明け方の早い時間帯に地平線近くで日食を見ることができる。氷山とツンドラを前景に見る日食は、一年の締めくくりにふさわしい光景となるだろう。
ナショナル ジオグラフィック より