父と娘の日記

或る70歳台父と40歳台娘の日々ー共通の趣味は、読書、音楽鑑賞(主にクラッシック)、登山、旅行等。

『もしもの備え』として、AEDの設置場所や操作方法等を確認し速やかに救命できるようになりたい。

今週のお題「もしもの備え」

 

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日本では毎日多くの人が心臓突然死で命を失っています。
日本では、心臓病による死亡は年々増えてきており、日本人の死亡原因の第2位。

病院外での突然の心停止による死亡、いわゆる心臓突然死は、1年間で約7.9万人。

一日に約200人、7分に1人が心臓突然死で亡くなっています。

 

その原因の多くは「心室細動」と呼ばれる重篤不整脈心室細動になると心臓は震えるのみで血液を送り出せなくなります。いわゆる心停止の状態です。
数秒で意識を失い、数分で脳をはじめとした全身の細胞が死んでしまいます。
心室細動からの救命には迅速な心肺蘇生と電気ショックが必要です。

心臓突然死は、他人事ではなく、だれにでも起こりえること。心停止する理由は様々です。病気などの他に心臓震盪(しんぞうしんとう)と呼ばれる、胸に衝撃が加わって心停止するケースもあり、主にスポーツの最中に胸にボールが当たって心停止する事例。

いつ誰にどんな理由で起こるかはわかりません。

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グラフは心停止となってから電気ショックまでの時間と救命率を示したものです。

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電気ショックが1分遅れるごとに救命率は10%ずつ低下。
119番通報をしてから救急車が到着するまでの平均時間は8.7分。

心臓突然死の後、1分遅れる毎に、救命率は7~10%低下するといわれています。目安として、5分以内の電気ショックが必要という主張があります。

毎分救命率が10%低下するとして計算すると、5分で救命率は50%、10分で0%となります。「10分たってしまったら助からない」というのは私にとっては衝撃的な数字でしたが、心臓突然死が起こったときは、1分1秒が生死を分ける状況といえます。

救急隊や医師を待っていては命を救うことはできません。 突然の心停止を救うことができるのは、その場に居合わせた「あなた」しかいないのです。

参考記事:【解説】一次救命処置の手順。心肺蘇生法ガイドライン2015版、総務省消防庁:令和元年版救急・救助の現況

  

下に、傷病者の発見から到着、AEDの使用までにかかるであろう時間を図にしましたが、発見から通報までの時間や、到着してから電気ショックを行うまでにかかる時間を考えると、13分程かかってしまうのではないかと思います。

救急車の到着を何もせずに待っていたのでは、ほとんど救命できないことになります。

 

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必ず119番通報をしよう!

まずは119番通報して、救急車を呼ぶことが大事です。救急車に同乗している救急救命士や病院で医師が行う二次救命処置と言うものがあり、あなたが行う心肺蘇生やAEDでの救命処置を一次救命処置と呼びます。

この1次救命と2次救命を含む「救命の連鎖」が命を助けます。

参考記事:『救命の連鎖とは。覚えておきたい救命効果を高める4つの取り組み。』

 

目撃したら心臓マッサージとAED

傷病者を発見した人が行うことが望まれる行為として、胸骨圧迫(心臓マッサージ)による心肺蘇生があります。脳や心臓は、心停止によって血流が途絶えると数分で障害をうけてしまいます。ここで受けたダメージは回復しないといわれているので、後遺症を残さないためには、ダメージを受ける前に対処する必要があります。

そこで電気ショックまでの間、ポンプとして働いていない心臓の代わりに、脳や心臓に血液を送り出す必要があります。また、心室細動の状態で何もしないと、心室細動の振れ幅がだんだん小さくなっていき、やがて完全に止まってしまいます。

この完全に止まった状態は心静止ともよばれますが、この状態ではAEDは電気ショックが必要と判断しません。心臓マッサージによって心室細動を維持することも、救命のために非常に重要です。

 

倒れた原因は不問。まずはAED

見ず知らずの人に胸骨圧迫をしたり、AEDを使用するのは非常に勇気がいることだと思います。また、よくある先入観として、「傷病者の状況をみてAEDを使用する必要があるかどうか判断するのは難しいだろう。」というものがあります。

しかし、AEDは電気ショックを行う機器であるとともに、電気ショックが必要かどうかを判断する機器でもあるのです。医師ではない一般市民がAEDを使用できるのは、AEDが判断する機能を備え付けているからです

ご自身がAEDが必要かどうかを判断するのではなく、AEDを起動して心電図を読み込ませ、電気ショックが必要かどうか判断してもらう、電気ショックが必要ならば、ボタンを押してくださいと音声で知らせてくれます。

また、「脳梗塞など脳の原因で倒れている場合でもAEDを使用して大丈夫なのかどうか」と迷う人もいるようですが、心停止とは病名ではなく、状態です。原因が脳であっても心臓であっても、心停止している傷病者に対しては、処置は同じだと覚えておいてください。

「迷ったら、AEDを使う」このイメージを持っておいていただけたらと思います。

 

胸骨圧迫をするのとしないので救命率は約2倍違います。
AEDを用いて電気ショックが行われれば、約6倍の人の命が救えます。

 

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突然の心停止から救命するためにできることは

①119番通報、②胸骨圧迫(心臓マッサージ)、③AEDによる電気ショックです。
このうち、119番通報をして救急隊の到着を待っていたのでは9.0%の人しか救命できません。
しかし、胸骨圧迫をすることで2倍、さらにAEDを用いた電気ショックが行われることで、突然の心停止の半数以上の人を救えます。
これは、そばにいあわせた人がすぐに実施するからこそ得られる効果であり、救急隊や、病院到着後に医師や看護師が行なう処置と比べて、数倍の効果です。
あなたが行なう心肺蘇生は完璧ではないかもしれません。 しかし、それでも医療者が関わってから行われる治療よりも、効果が大きいのです。 勇気を持って一歩を踏み出すことで、救われる命が多くあります。

心停止かそれに近い状態に陥っているときには、心肺蘇生術を施さなければ死を避けられないと判断されますので、無条件でまずは心肺蘇生術を行うべきです。出血している場合、肋骨が折れた場合や、ペースメーカーが埋め込まれている場合などで心肺蘇生を躊躇してしまう場合があるかもしれませんが、これらが存在しようとなかろうと、生命を維持するために行う蘇生術は欠かすことができないものですので、ほかの何よりも優先されます。死に瀕しているときの蘇生術という行為は、その結果のいかんを問わず、推奨されるべきものであり、決して非難されるものではありません。

                        日本AED財団 ホームページより
 

AED自動体外式除細動器)とは

 AED自動体外式除細動器)は、心臓が停止した人に自動的に電気ショックを与え、心臓の動きを正常に戻す医療機器。心臓突然死対策の切り札として、救命率の改善に役立つと期待されています。

 医療従事者ではない一般市民が使うために作られているので、AEDの操作方法は簡単でわかりやすく、電源を入れると使用者が何をしたらよいか、音声ガイド等で指示をしてくれます。

 

 

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胸骨圧迫の方法

PUSHプロジェクトHPより
胸骨圧迫は、止まった心臓の代わりに脳と心臓に血液を送る唯一の方法です。

ポイントは「強く、速く、絶え間なく」押すことです。
位置:胸骨の下半分のところ
深さ:約5cmしっかり沈むくらい
速さ:1分間に100~120回のペース

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AEDの使い方

心停止の多くは心室細動、いわゆる心臓のけいれんが原因です。そのけいれんを止めてくれる医療機器がAEDです。
AEDの操作はとてもカンタンです。電源を入れればあとはAEDが指示を出すので、それに従えば誰でも使えます。

指示に従ってパッドを絵の通りに倒れている人の素肌に貼ると、AEDは電気ショックが必要な状態かどうかを判断します。
その後、指示があれば周囲の安全を確認してショックボタンを押して下さい。
AEDは、必要のない場合には電気ショックを行わないようになっています。また、AEDの音声指示や絵によるサポートは、現場での心強い味方になるでしょう。AEDは命を救う手助けをしてくれる、欠かせないパートナーなのです。

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PUSHプロジェクトHPより
 

 

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倒れた人をみつけた時の流れ 

①119番通報とAEDの要請

 反応(意識)を確認する。助けを呼ぶ・119番通報(口頭指導)
②心肺蘇生(胸骨圧迫)

 呼吸の確認、迷ったら胸骨圧迫
AEDによる電気ショック

 AEDを使う

④救急隊が到着するまで心肺蘇生を継続

 人工呼吸と気道確保、胸骨圧迫(と人工呼吸)とAEDの繰り返し


 とにかくやってみる。使ってみる。

 

 

心肺蘇生は完璧ではなくても、やれば助かる人が増える可能性が高いです。また、心停止状態では、何もしなかったら確実に亡くなってしまいます。倒れた人を見つけたときは、勇気を出して心肺蘇生とAEDの使用をしていただけたらと思います。

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どこに行けばAEDがあるの?


1. やはり病院など医療機関に多い!このほか、介護・福祉施設などでも設置しているところは多くあります

 2. 大都市では駅に!

東京や大阪など、大都市であればほぼ確実に設置されているのが、多くの人が利用する駅。 駅であれば、居合わせる人も多いため、AEDを持ってきてもらうようにお願いするのも難しくないでしょう。誰も見つからないときは、緊急ボタンで駅員さんを呼ぶか、改札にダッシュしましょう。ただし、都市部以外の小さな駅などでは設置していないことが多いので注意が必要。また、バスターミナルやフェリー乗り場などにも設置しているところは多くあります。

3. 学校、官公庁、スポーツセンターなどの公共施設にも

多くの人が利用するという意味では、学校や市役所、図書館、公民館、スポーツセンターといった公共施設にも設置されていることが期待できます。いずれも大きな建物の場合が多いですから、受付などで職員に設置場所を尋ねるほうがいいでしょう。あわせて応援要請。
なお、このあとに紹介する場所(デパート、会社など)も含め、公共性の高い施設などの場合は、あらかじめ営業時間を把握しておくことも重要になります。

4. デパートやドラッグストア、コンビニなどの商業施設

デパートや大規模商業施設などでも、万一に備えてAEDを設置するところが多くなってきました。さらに、ドラッグストアやコンビニなどは、比較的小さな店舗でも、人命救助への意識の高まりから設置しているところが増えています。

5. 大きなマンション、会社などに設置されている場合も

大きな集合住宅や会社などでは、万一に備えてAEDを導入しているところもあります。ただし、公共施設ではありませんから、必要な場面になったら、受付などに必ず断りを入れてから借りるようにしましょう。

6. Webサービスを使う

日本救急医療財団では、このようなAEDマップをWebサイトで公開して、AEDの設置場所を検索できるようにしています。地図上で見てはじめて、「あ、ここにもあったのか!」と気づくこともあるでしょう。また、自治体によっては、その地域のAED設置マップをWebサイトに掲載しているところもありますので、自分が住んでいる市区町村のWebサイトで日頃からチェックしておくようにしましょう。

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www.qqzaidanmap.jp

 

 

このように、AEDが設置されていそうな場所はいくつか考えられますが、急な場面でも慌てないように、自宅周辺やよく行く場所の周りを時間に余裕があるときにチェックしておくといいでしょう。そうすることで、いざというときの行動に余裕も出ますし、見知らぬ土地であってもだいたいの設置場所が予想できるようになってきます。
なお、探す際には、このようなAEDの設置場所を示すサインシールなどを目安にするといいでしょう。

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そんなよくある間違い

1. AEDでいう成人は20歳以上を指す

AEDは対象の年齢によって、体に貼る電極パッドやモードを切り替えて使いますが、成人用パッドや成人用モードの対象は小学生以上を指し、0歳~およそ6歳未満の未就学児には小児用パッドや小児用モードを使います。

また、小学生なのか未就学児なのか判断に迷った場合は、成人用を使います。未就学児に対して、小児用のモードやパッドがない場合は、成人用を使っても問題ありません。


2. 妊婦へはAEDを使用してはいけない

妊婦にも使用できます。お腹の赤ちゃんを心配してためらってしまうかもしれませんが、妊婦の心臓がけいれん(心室細動など)していた場合、AEDによる電気ショックが必要です。

妊婦が心停止しているということは、赤ちゃんへの酸素供給も止まっている可能性が考えられるので、妊婦にAEDを使用することは胎児の救命にも繋がります。

 

3. 胸毛が濃い場合、予備用の電極パッドのシートで剥ぎ取る

胸毛は剃りましょう。もしかしたら、講習などで聞いたことがあるかもしれませんが、これは予備の電極パッドが入っている前提で話しています。しかし、実際のところ予備がないAEDも多いです。

電極パッドは一度限りの使い捨てです。一度貼ったら粘着性は弱まりますし、一個しかない電極パッドをダメにしてしまうと電気ショックができません。

また、電極パッドは除毛することを目的に作られていませんから、脱毛剤のように脱毛できるものではないことを覚えておきましょう。

こちらも販売店などによりますが、AEDにはレスキューセット(または、救急セット)と呼ばれる救命に必要な最低限のキットが入っている場合があります。この中にはカミソリが入っていますので、カミソリで除毛しましょう。

 

4. どんな心停止でも、AEDは有効である

心停止には4種類あり、そのうちの2種類でしかAEDは有効ではありません。電気ショックが有効な2種類は心室細動心室頻拍です。

簡単にいうと、心臓がけいれんしている時にAEDが有効です。完全に止まった心臓にはAEDの電気ショックは流れません。(「電気ショックは不要です」と音声が流れるのでその後は胸骨圧迫などの心肺蘇生は続けましょう)

非医療従事者が、電気ショックの必要性の有無を判断することは、非常に困難なので、AEDの指示に従って判断します。

 


5. AEDの使用には、資格や講習が必要である

資格は不要です。AEDを製造したり、販売したり、修理したりする業者には資格が必要ですが、使う人に資格はいりません。

医師や看護師だけが使えるものではなく、一般市民も使えます。

初めて使用する人でも使えるようにAEDは音声でガイダンスしてくれますが、よりスムーズに使えるように、消防署などの救命講習を受けておくことをおすすめします。


6. AEDは屋外に設置できる

AEDは暑さ・寒さに弱いです。特に寒さに弱く、現行(2019年11月現在)のAEDで保管適正温度は通常0度 ~ 50度の範囲が一般的で、氷点下に強いAEDでも-5度が最高対応幅です。

そのため、屋外に設置を考えている場合は、AEDを外気温から守るための工夫が必要で、屋外用の収納ケースなどに入れて保管する必要があります。

 

7. AEDを女性に使ってセクハラで訴えられた人がいる

弁護士に調べてもらった限り、セクハラ(痴漢)で訴えられた人はいませんでした。セクハラというより、痴漢(強制わいせつ罪)になりますが、この罪にあたるかは性的意図があるかどうかが重要となります。救命目的で女性に触れるわけですから、強制わいせつとは認定されないというのが弁護士の見解です。

訴えられただけでも、個人としてデメリットになることが多いと思います。よりよい制度や正しい知識が広まっていくことを望みます。

 

JRC蘇生ガイドライン2015」監修;一般社団法人日本蘇生協議会・発行:株式会社医学書院(2016年2月15日発行第1版第1刷)
「救急蘇生法の指針2015(市民用・解説編)」株式会社 へるす出版(2016年3月31日)より

 

 

 

 

富士山のような過酷な環境でも使用されている AED

日本で一番高い山、富士山。山頂は最暖月の8月でも平均気 温が6度しかなく、安全に登ることができる期間は7月上旬 頃から9月上旬頃のみです。この約2か月間に約20万人か ら30万人が富士山に登りますが、高さ3,776mもの山を登 るような肉体的に厳しい活動は、特に心臓の疾患や不調を 抱える人にとって、適切な予防策と訓練がなければ危険だと いわれています。富士山における適正利用推進協議会によれ ば、2008年から2017年までの10年間で712件の遭難件 数が報告され、90名が死亡しています。AEDの携行は、こ のような悲惨な死を防ぐ助けになります。

心肺停止後の救命 率は1分ごとに7%から10%ずつ減少するため、救命の可能 性を高めるために心肺停止から 5 分以内の AED の使用が推 奨されています。

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