父と娘の日記

或る70歳台父と40歳台娘の日々ー共通の趣味は、読書、音楽鑑賞(主にクラッシック)、登山、旅行等。

Photo Stories撮影ストーリー:新型コロナ、最前線で闘うナース

 

 本当に、頑張って欲しい。応援している。

 

新型コロナウイルスが勢いを増すなか、病院では医師や看護師、医療助手らが過酷かつ勇敢な仕事に取り組んでいる。米メリーランド州ボルティモアの看護師で、ナショナル ジオグラフィック・エクスプローラーの助成金を受ける写真家でもあるローゼム・モートン氏が、病院での8日間を記録した。

 

2020年3月17日(火)

メリーランド州で最初のコロナウイルス症例が確認されてから:12日目
勤務先の病院に最初のコロナウイルス患者が入院してから:6日目

 
午前6時 急いで出勤の準備をしながら、ふと自分の習慣が変わっていることを思う。例えば、弁当箱は使い捨てのビニール袋になった。家に持ち帰るものを最小限にすることで、感染のリスクを減らすためだ。財布は持たず、ポケットにIDカード、ハサミ、ペンを詰め込む。

f:id:Tulip01:20200822195612j:plainロッカールームに貼られたシールが、1日1日をコツコツと積み重ねる大切さを思い出せてくれると、モートン氏は言う。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

 

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2020年3月18日(水)

モートン氏は仕事の前後に手術着を替える。以前はバッグを持ち歩いていたが、今は簡単に拭ける、必要なものだけをポケットに詰めている。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

2020年3月24日(火)午前6時40分
 病院内を歩いていると不安になる。そこら中に「面会禁止」の看板。ひとりで入院している患者さんたちはどう過ごしているだろう。

2020年3月31日(火)午前6時25分
タイムレコーダーにIDカードを通すと、初めて見る画面がポップアップする。咳、喉の痛み、発熱などの症状はないかと尋ねている。わたしは「いいえ」をクリックし、「はい」と答えたらどうなるのだろうと考える。この先も「はい」と言わずに済むことを願う。

 

ローゼム・モートン氏は今も健康を保ち、ボルティモアで看護師として働いている。4月3日時点でメリーランド州新型コロナウイルス感染者数は2758件、死亡者数42人、ボルティモアの死亡者数は4人だ。

 

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2020年4月1日(水)顔にくっきりと残ったN95マスクの痕。唇も、乾燥して皮がむけている。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)f:id:Tulip01:20200822201018j:plain

病院を出たとき、最前線で働く人々への感謝と応援メッセージを見て、モートン氏は笑顔になった。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

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2020年4月2日(木)陽性判定の出た患者に接したことを、携帯メッセージで夫に報告。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

2020年4月8日(水)午前8時
 最前線で働くスタッフに話を聞いた。コロナ患者が増えすぎて、感染症専門病棟だけでは対応しきれなくなっている。最もつらいのは、患者がたったひとりで息を引き取るとき、病院に入れてくれと懇願する家族からの電話に対応するとき、陽性と判定された母親を幼い子どもから引き離さなければならないときだという。

午前10時30分
 病院内でマスクの着用が必須となった。防護具を節約するため、マスクは1日1枚にしたいが、病院で使用したマスクをそのまま帰りの自動車のなかでも着けていて大丈夫だろうか。それとも、場所によって使い分けたほうがいいのだろうか。何が最善の方法なのか、まだわからない。

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2020年4月29日(水)午後8時30分
 困難ななかにあっても、医療従事者はユーモアを忘れない。マスクや靴のカバーに面白い絵を描いて笑わせてくれる。私は仕事上がりに、友人と一緒にダンス動画を撮影した。

 

2020年5月12日(火)午前8時45分
 私の担当する患者が、今朝コロナウイルス検査を受けて結果を待っているところだと、別の看護師から告げられた。私はN95マスクに手術用マスクを重ね、手術着の上から黄色い防護服を着た。手袋をしていた時に、眼鏡の上から装着するフェイスシールドがないことに気付いた。周囲に聞いて回ったが、どこでも手に入らなかった。私以外全員がN95マスクとフェイスシールドをしていたが、私には渡されていない。仕方なく、眼鏡があるだけましだと思うことにした。

 患者を看た後部屋を出て、防護具を外した。彼女のカルテを確認すると、太字で「COVID陽性」と書かれてあった。こうなることは予想できたはずだったのに。もっと強くフェイスシールドを要求すべきだった。

午後9時20分
 帰宅途中、車の中は静かだったが、心は不安でかき乱されていた。他人の安全のためにはしつこく要求するのに、自分のこととなると強く言えない。自分で自分を叱りつけ、次はちゃんとやろうと思った。今日の過ちの代償を払うことがないようにと願いながら。


ローゼム・モートン氏は今も健康で、ボルティモアで看護師として勤務している。5月19日時点で、メリーランド州新型コロナウイルス感染者数は3万9762人、死亡者数は1903人、そのうちボルティモアの死亡者数は237人だった。

ナショナルジオグラフィックより 

 

 

 

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